
これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第2巻(第18〜36話)の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
第2巻(第18話〜第36話)のあらすじ

皇女ランフォーレ奪還の勅命を受けたカリュースは、軍師リーディスの分析により、姫の拉致先としてラヴァウインド共和国のサジ伯爵、またはヒスタリクのアビス侯爵を捜索先と絞り込んだ。
「まずは手薄な方から」という判断で、カリュース、リーディス、デスの三名はサジ伯爵邸への潜入捜査を決行。一方、ルッカは別働隊として、ジプシーの老婆ウィフィツィのばばを迎えにゲナブの森へと向かった。
時を同じくして、サジ伯爵邸には意外な人物が滞在していた。ラヴァウインド共和国の六大卿の一人、ヴィラン公爵である。

彼女は教皇後継争いの政争から一時的に距離を置くため、この館を訪れていた。老獪なサジ伯爵は、各国の裏で暗躍する灰色の老伯爵の本性を見せず、ヴィランとカリュース双方を警戒しつつも、表向きは歓迎し、腹の探り合いが続く。
夜、カリュースとデスは館の調査を開始し、警備が厳重な地下室へ狙いを定める。しかし、そこで待ち受けていたのはヴィランであった。彼女はカリュースたちを地下の宝物庫へ招き入れ、そこには「姫がいない」という事実を突きつける。
ヴィランはカリュースに対し、サジ家秘蔵の至宝「皇藍玉の首飾り」をカリュースの首にかけ、
「そうじゃ。お主にこれをやろう。この首飾りは、お主によく似合う……」
と、からかい気味に試すのである。その様子を見ていたリーディスは、予言にあった「紫星」とはヴィランのことであり、彼女との接触が運命であると見抜く。

カリュースは首飾りを返却しにヴィランの部屋を訪れるが、ヴィランはカリュースがいずれ世界を統一する大人物になると確信し、カリュースの旅への同行を一方的に宣言する。
デスは猛反対するが、リーディスの進言により、他国の公爵であるヴィランを仲間に加えるという異例の同盟が成立した。一行はサジ伯爵邸を後にし、帝都ラウェルへの帰路につく。
その頃、ゲナブの森では沈黙を守り続けていた北の魔女ウィフィツィのばばが、突如として天を仰いだ。
「紫星(ヴィラン)と天命の星(カリュース)が一つになった!」
運命の星々が動いたことを感知した彼女は、ついに重い腰を上げ、ジプシーの一団と共にラウェルへ向けて疾走を開始する。
役者は揃い、物語はラウェルでの次なる局面へと動き出した。

明け方の帝都ラウェルに、ヴィラン公爵を伴ったカリュース一行が秘密裏に帰還した。市街に入る直前、別働隊として動いていたルッカやジプシーのミックとも合流を果たし、彼らはついに一堂に会する。
次なる標的は、ヒスタリク王国の重鎮アビス侯爵。彼の手からランフォーレ姫を救出するため、軍師リーディスは正面突破ではなく、「大芝居」と称する壮大な策謀を用意していた。その夜、無理が祟り高熱を出して倒れたリーディスだったが、カリュースの献身的な看病を受け、主君への忠誠と決意を新たにする。

翌日の軍議で、リーディスは驚くべき作戦を提示する。それは要衝「コッドの砦」と「ミュアイ市」を舞台にした二重の罠だった。
まず、ハースランド中騎兵の手引きで脱獄させた敵将ザッカートをコッドの砦に帰還させる。次にブラーム公爵の軍を動かしてミュアイ市の守りを手薄に見せかけ、功名心にはやるザッカートを砦から誘い出す。
空になった砦をデスとルッカが陥落させ、突出したザッカート軍をミュアイ市で包囲殲滅して捕虜にする──。捕らえたザッカートを人質交換のカードとして利用し、姫を奪還するという筋書きである。ヴィランはこの策に感嘆し、自らも囮役や攻略の一翼を担うことを志願。役割分担が決まり、一行はそれぞれの戦場へと散っていった。

一方、作戦の鍵となるコッドの砦では、帰還した司令官ザッカートが祝宴に酔いしれていた。彼は自分を救出したジャクメルに全幅の信頼を寄せる。
しかし、砦を守る副司令官・陰気な魔術士チェンライだけは違っていた。彼はジャクメルが連れてきた傭兵たちの中に「諜者」が紛れ込んでいることを鋭く察知し、ザッカートに警鐘を鳴らす。
ザッカートはその忠告を一笑に付すが、砦の内部ではすでに密偵たちが暗躍し、難攻不落の要塞は内側から崩壊へのカウントダウンを刻み始めていた。
第2巻のエピソード毎のまとめ
第2巻は、以下の2つの区間に分けて読むと流れを掴みやすい構成になっています。
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【第18〜27話まとめ】騎士と公爵──運命の合流 姫の行方を追いサジ伯爵邸を訪れたカリュース達は、そこで六大卿の一人ヴィラン公爵と遭遇する。ヴィランは館に姫がいないことを告げ、カリュースに運命を感じ、一行への同行を宣言する。一方、予言者ウィフィツィも「紫星」と「天命の星」の邂逅を感じ取り、ルッカと共に帝都へ向けて動き出す。 -
【第28〜36話まとめ】姫救出の大芝居。軍略が世界を動かす 帝都へ帰還した一行は、軍師リーディスの描く「大芝居」により、コッドの砦とミュアイ市を舞台に二重の罠を仕掛ける。姫救出のための駒は動き出し、砦の内部では諜者の影が濃くなる。
第2巻の主要な登場人物
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カリュース
スィークリト帝国の中騎将。姫奪還の勅命を受け、軍師リーディスと共に大国の陰謀へ踏み込んでいく。 -
リーディス
白髪の軍師。病弱で右足が不自由ながらも、姫救出のため国家規模の「大芝居」を描き出す。 -
デス
大騎将。豪快な性格で、カリュース達を陰ながら支える。第2巻では砦攻略の指揮を担う。 -
ルッカ
小騎将。カリュースの同僚であり友。別働や砦攻略など、戦線の要所を担う。 -
ラーデンブルク公ヴィラン
六大卿の女公爵。「紫星」と呼ばれる運命の存在。カリュースに同行し、大芝居にも自ら危険な役を志願する。 -
リューベック
ヴィランの護衛を務める騎士。エレオノールの兄。 -
エレオノール
ヴィランの護衛を務める騎士。リューベックの妹。 -
サジ=ベルダント伯爵
敵対する国同士の裏で暗躍する灰色の老伯爵。姫の手掛かりを追う一行の前に立ちはだかる。 -
ウィフィツィのばば
北の魔女と呼ばれる占い師。星の運命を読み、ラウェルへ向けてジプシーを動かす。 -
ミック
ウィフィツィのジプシーの少年。第2巻後半で帝都へ到着し、一行と合流する。 -
ジャクメル(ハースランド)
スィークリトの潜入工作員としてザッカートの脱獄を手引きし、コッドの砦へ潜入する。 -
ザッカート
コッドの砦司令官。ジャクメルの手引きで脱獄し、砦へ帰還する。 -
チェンライ
コッドの砦の副司令官の魔術士。鋭い勘で内部に入り込んだ諜者の存在を疑う。
国名・地名・用語
- スィークリト帝国:物語の中心国家。カリュース達が属する帝国。
- ラヴァウインド共和国:ラヴァ正教を中心とする宗教共同体国家。六大卿の合議で統治される。
- ゲナブの森:帝都ラウェルの南に広がる森。
- ウィフィツィのジプシー:北の魔女ウィフィツィのばばが率いる、三日月と太陽の紋章を持つジプシー集団。
- コッドの砦:レガヌ海峡を抑えるヒスタリク王国の重要拠点。後方は海、前方は森に阻まれた難攻不落の要塞。
- ミュアイ市:アラク海峡を抑えるブラーム公国(スィークリト帝国 同盟国)の都市。今回の作戦の要衝。
- 魔術士:自然の法則を利用し魔術を操る者たち。一般には忌み嫌われているが、一部の国で軍事的役割を担う。
- 諜者:敵地に潜入し、情報収集や破壊工作を行うスパイ。
個別にエピソードを読む
第18話 最初の一手 姫奪還へ標的をサジ伯に定め、一行は出立する。帝都を離れる彼らの背中を、運命の風が静かに押し始めていた。
第19話 微笑と陰謀ヴィラン公の来訪で、サジ伯の陰謀が静かに動き出す。老獪な伯爵の背中は、闇に溶け込むように廊下の奥へと消えていった。
第20話 洗雨の朝雨後の伯爵邸で疑念が兆す。静まり返った朝の空気の中で、館に潜む違和感だけが、確かに目を覚まし始めていた。
第21話 冷たい火花秘宝を巡る駆け引きで、伯爵と公爵の疑念が交錯する。煌びやかな宝物庫の扉は閉じられたが、疑念の扉は開かれたままだった──
第22話 騎士と公爵父への疑念を抱くヴィランの前に、帝国の騎士達が姿を現す。思索の糸を断ち切るように、避けられぬ現実が、館の門を叩こうとしていた。
第23話 薄氷の儀礼帝国の使者を迎え、伯爵は慎重な儀礼の裏で策を巡らす。閉ざされた扉の向こうで、老伯爵の眼光だけが鋭く光り続けていた。
第24話 交差する星々宝物庫でカリュースは女公爵ヴィランと邂逅する。交差する星々──偶然の出会いは必然へと変わり、運命の歯車はかみ合い大きく動き始めた。
第25話 導きの悪戯ヴィランは同行を宣言し、運命の道は定まる。カリュースが見つめるヴィランの瞳には、揺るぎない意志が宿っていた。
第26話 予期せぬ同伴者公爵という予期せぬ同伴者を加え、一行は夜の帝都へ急ぐ。闇夜を駆ける彼らの蹄音は、やがて来る変革の鼓動のように響き渡る。
第27話 星を詠むもの紫星の兆しを受け、ウィフィツィ一行はついに動き出す。動き出した馬車の列は、森の静寂を裂きながら、次なる局面へと踏み込んでいった。
第28話 帝都ラウェル帝都ラウェルへ戻った一行は、次なる標的をアビス侯爵に定める。賑やかな朝の風景とは裏腹に、彼らの胸中には嵐の予感が渦巻いていた。
第29話 仲間との再会仲間と合流し、陣容は整えられ次の策が動き出す。再会の余韻はすぐに消え、彼らの表情は既に次なる戦いへと向いていた。
第30話 儚さと苦しみ病に伏す軍師は静かに策を明かし、事態は次段階へ進む。夜風に乗る優雅な調べの裏で、静けさは確実に意味を変え始めていた。
第31話 戦慄の軍略軍師の描く大芝居の全貌が明かされ、戦局は危険な段階へ進む。この時カリュースは、その策の先に待つ運命の過酷さを、知る由もなかった。
第32話 大芝居の幕開け大芝居の全貌が示され、各地で軍と人物が動き始める。広げられた地図の上で、見えざる駒たちが音もなく配置されていく──
第33話 駒は動く策は最終段階へ進み、各陣営はそれぞれの役割を背負い動き出す。静寂を取り戻した部屋で、若き主従は来るべき嵐の前の静けさを共有していた。
第34話 コッド砦の魔術士魔術士の存在と指令官帰還の噂が、砦に不穏な空気を広げていく。囁かれた噂は消えることなく、砦の隅々に不安として沈殿していった。
第35話 司令官の帰還指令官帰還の祝宴の裏で、不信と警戒が静かに芽吹く。祝杯の酒は赤く輝き、やがて流れるであろう鮮血の色を予感させる──
第36話 騎士と鼠砦の内に潜む諜者が動きを告げ、陥落への歯車は静かに回り出す。宴の声は夜空に吸い込まれ、砦は静かに破滅へのカウントダウンを刻み始める──

