これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第3巻(第37〜59話)の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
第3巻(第37〜59話)のあらすじ
ラムセス市のスラム街。領主クルゴスの圧政に苦しむ民衆のただなかで、ボロボロのローブを纏った男が、ならず者に襲われていた青年ビトラを救い出す。男の正体は、ラヴァウインド共和国の従騎兵リューベックであった。
彼はビトラを助けた縁で、タホスやガスクら地下の革命家たちのアジトへと招き入れられる。彼らは子供たちまで強制労働させる領主クルゴスを倒すため、革命の機会を窺っていた。
時を同じくして、ラムセス市に一人の高貴な客が訪れる。「鬼公爵」ヴィランである。傲慢な領主クルゴスは彼女を歓待しようとするが、ヴィランは冷たくあしらう。夜、キュロの泉を訪れたヴィランを、革命家たちが人質目的で襲撃する。
しかし、ヴィランはあっさりと自ら「捕虜になってやろう」と宣言し、彼らのアジトへと同行するのだった。
アジトで革命家たちの稚拙な計画書を見たヴィランは呆れ果て、自ら革命の指揮を執ることを宣言する。ヴィランの策は鮮やかだった。彼女の偽者を複数用意してクルゴスの兵7,000をスラム街の迷路へと誘い込み、火薬師パーパの爆薬で退路を断って無力化するというものである。
計画は的中し、手薄になった領主館から逃亡したクルゴスは北門で待ち伏せに遭う。そこで彼を絶望させたのは、ミュアイ市から進軍してきた5,000の軍勢だった。
実は、この革命そのものが「白髪の軍師」リーディスの描いた大芝居の一部であり、青年ビトラも潜入していたスィークリトの騎士だったのである。見事にラムセス市を解放したヴィランたちは、次なる戦地ミュアイへと馬を走らせる。
一方、コッドの砦では、司令官ザッカートが若き騎士ジャクメル(リーディスの送り込んだ諜者)の進言に乗り、ミュアイ市攻略のため15,000の兵を率いて出陣を決定する。副司令官である陰気な魔術士チェンライの「敗北の兆し」という占いを無視しての凶行だった。
砦が手薄になった隙を突き、デスとルッカ率いるスィークリト軍5,000が砦を急襲する。だが、チェンライの魔術による「見えざる壁」が軍の行く手を阻む。この窮地を救ったのは、ジプシーと共に駆けつけた「北の魔女」ウィフィツィのばばだった。彼女がタロットカードを用いて一瞬だけ自然の理を逆転させると、結界は脆くも崩れ去った。
障壁が消え、怒涛のごとく砦へ雪崩れ込むスィークリト軍。ルッカから剣を学んだジプシーの少年ミックも初陣を飾り、敵を打ち倒す。術を破られ戦意を喪失したチェンライは捕らえられ、難攻不落を誇ったコッドの砦は、ついにスィークリトの手に落ちたのである。
リーディスの恐るべき知略のもと、ラムセス市の解放とコッドの砦の陥落という二つの盤面が制覇された。
物語は、最大の激戦地となるであろうミュアイ市での決戦へと向かっていく。
第3巻のエピソード毎のまとめ
第3巻は、以下の3つの区間に分けて読むと流れを掴みやすい構成になっています。
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【第37〜44話まとめ】地下に芽吹く革命の息吹 裏路地で青年を救った騎士リューベック。彼を迎え入れた地下組織の願いと領主の強欲が交錯する中、ヴィラン公爵の来訪によって、停滞していた運命は一気に加速を始める。 -

【第45〜54話まとめ】詰みの王手──大芝居の幕裏 ヴィラン公爵が描く「大芝居」により、独裁領主の圧政はついに崩壊へと向かう。スラムの迷宮に仕掛けられた二重の罠と、騎士リューベックが導く詰みの王手。物語は、ラムセス市に自由の産声をもたらす解放のフィナーレへ。 -

【第55〜59話まとめ】盤上の革命と自由への産声 リーディスの策により主力軍が去ったコッドの砦に、スィークリト軍が牙を剥く。鉄壁の魔術障壁も「北の魔女」の前に砕け散り、不落の砦はついに陥落。軍師が描く大芝居は、姫奪還の最終局面へと加速する。
第3巻の主要な登場人物
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ヴィラン公爵
ラヴァウインド共和国の六大卿の一角、ラーデンブルク公爵。女性。リーディスの策を自らの手で成功させるため、ラムセス市を訪れる。 -

リューベック
ボロボロのローブを纏いラムセス市を訪れた長身の男。正体は一流の騎士。ビトラ救出をきっかけに地下組織と接触し、革命への協力を請われる。 -

タホス
革命組織のリーダー格である老人。知的な雰囲気を持ち、リューベックの正体を見抜いて助力を乞う。 -

バラコア
威勢の良い中年女性。追っ手から逃れるリューベックを匿い、地下アジトへと案内する。 -

ガスク
バラコアの夫で筋肉質の巨漢。リューベックに力勝負を挑むが、あっさりと制圧される。 -

グレーベ
スラム街唯一の医師。眼鏡をかけた禿頭の中年男性で、怪我人の手当てを行う。 -

パーパ
鉱山で使う火薬を作る火薬師の小柄な老人。地下組織の知恵袋でもある。 -

クルゴス
ラムセス市の自治領主。肥満体で醜悪な容姿を持つ男で、市民や子供たちに過酷な労働を強いる圧政者。 -

リビンスク
クルゴスの部下で現場指揮官クラスの男。スラムでリューベックに撃退され、のちヴィラン公爵の接待準備に奔走する。 -

デス
スィークリト帝国の大騎将。不落の要塞コッドへの総攻撃を指揮し、北の魔女の加護を得て見えない魔術障壁を突破、圧倒的な武勇で砦を陥落させる。 -

ルッカ
スィークリト軍の若き小騎将。先陣を切って砦内へ突入し、兄のように慕うミックを導きながら、難攻不落の要塞攻略の一翼を担った。 -

ウィフィツィのばば
伝説の「北の魔女」。チェンライが展開した強固な魔術障壁を「稚拙」と切り捨て、天地の理を逆転させることで術を破り、帝国の勝利を決定づけた。 -

ミック
ジプシーの少年。ルッカを兄と仰ぎ、死地の中で己の役割と向き合う。デスの叱咤を糧に、過酷な戦場で戦士としての第一歩を踏み出した。 -

ザッカート
コッドの砦司令官。文人官吏らしい快活な野心家。ジャクメルの献策に乗りミュアイへ出陣するが、その隙を突かれ長年守った牙城を失う。 -

チェンライ
魔術士にして副司令官。魔術による防御障壁でスィークリト軍を阻むも、伝説の魔女ウィフィツィを前に敗北を悟る。最後は潔く矛を収め、捕虜の身となった。 -

ジャクメル
ザッカートの副官に抜擢された十九歳の騎士。冷静沈着な軍略で上官を動かすが、その正体はリーディスの策謀を遂行する「諜者(ハースランド)」である。
国名・地名・用語
- ラムセス市:巨大な城壁に囲まれた中核都市。領主クルゴスの過酷な圧政下にあり、ヴィランが仕掛けた「大芝居」による革命の舞台となった。
- キュロの泉:天地創造の彫刻が並ぶ巨大な円形の泉。ヴィラン誘拐を装った革命の幕開けの地であり、混沌の起点となる場所。
- スラム街:街の南部に広がる複雑に入り組んだ居住区。ラムセス市が迷宮都市と言われる所以。ヴィランの策により、七千の領主軍を分断・無力化するための巨大な罠として活用された。
- ミュアイ市:ブラーム大公領の首都。ザッカードはミュアイ市陥落を目指し進軍を開始する。
- コッドの砦:ヒスタリク王国が誇る海上の要衝。レガヌ海峡を見下ろし、過去一度も陥落したことのない不落の要塞。ザッカートが司令官を務め、今回の攻略作戦の主戦場となった。
- 軍港ルブラン:イザハード海西部に位置する軍事拠点。ジャクメルの献策により、ミュアイ市攻略のための艦隊を編成し、五千の兵を出港させる起点となった。
- メーマック市:ヒスタリク最大の穀倉地帯を守る要の街。ジャクメルの策では、ここの常駐兵一万を吸い上げ、一気に北上してミュアイ市を包囲する計画が立てられた。
個別にエピソードを読む
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第37話 裏道の恩人 ラムセスの裏路地で、ローブの男が青年ビトラを救い出す。地下へ続く扉が、運命の歯車を回し始める。 -

第38話 圧政者への密使 領主館ではクルゴスが苛烈に怒りを振りまき、部下リビンスクは追い詰められていく。圧政の波紋は静かに広がる。 -

第39話 影に集う者 地下道の先に待つのは、革命家たちの拠点。バラコアの導きで、ローブの男は「仲間」に迎え入れられる。 -

第40話 風来の騎士 ローブの下から現れたのは、凛々しい騎士の素顔。名はリューベック──ただの風来坊を名乗る男の真価が垣間見える。 -

第41話 乞われた剣 圧政の現実が語られ、老指導者タホスは剣に助力を乞う。救いを求める声が、革命の輪郭を形づくっていく。 -

第42話 鬼公爵の行軍 三日後、街へ到着したのは女公爵ヴィラン。沈黙の威圧が民衆を縛り、群衆の中でリューベックと視線が交錯する。 -

第43話 偽りの祝祭 領主館の豪奢な宴は、むしろ緊張を際立たせる。クルゴスの虚飾とヴィランの冷淡が、静かな対立を深めていく。 -

第44話 静寂の潜入 密書を焼べ、ヴィランは夜の外出を命じる。護衛ファエラを従え向かう先は「キュロの泉」──策の糸が解け始める。 -

第45話 牙を剥く虎 潜む一行。ヴィランの来訪に合わせ、泉の畔で奇襲が始まる。投じられた一石が、これから巻き起こる混沌へと事態を加速させていく。 -

第46話 偽りの誘拐 ヴィランの剣技に圧倒されるも、彼女は自ら捕虜となる。嘆きの声は夜に吸い込まれ、偽りの誘拐は、革命の火種に新たな風を吹き込む。 -

第47話 策なき革命 アジトで計画を断じたヴィランだが、民の覚悟を認め手を貸す。策なき革命──ここから本当の幕が開こうとしていた。 -

第48話 反乱前夜 スラムを罠とするヴィランの策。全兵力を投じるリビンスク。蜂起の狼煙が、街のあちこちで静かに灯り始める。 -

第49話 蜂起の狼煙 偽ヴィランが兵を翻弄し、民が決起。主の消えた領主館へ。空っぽの城へと向かう足音は、盤上の王手を告げる響きを帯びていた。 -

第50話 轟鳴の迷路 音と共に退路は断たれ、兵は迷宮に沈む。主を失った館で、逃げ場なき密室で、狩る者と狩られる者の立場が今、逆転する─ -

第51話 詰みの王手 逃亡を図る領主に、ヴィランとリューベックが引導を渡す。開かれた門の向こうには、絶望という名の現実が待ち構えていた。 -

第52話 白銀の兄妹 ラムセス包囲。明かされるヴィランと従者の真の姿。凱旋する彼らの後ろ姿に、革命家達は新たな時代の訪れを感じ、胸の高鳴りを覚えていた。 -

第53話 大芝居の幕裏 すべては周到に仕組まれた狂言だった。ビトラが語る真相。積み重ねられた様々な思惑は、一点へと収束していく── -

第54話 自由への産声 解放された街に希望が宿る。ヴィラン達を見送る感謝と別れ。解放の風は、遠くの地平まで吹き抜けていく…… -

第55話 若き騎士の献策 ジャクメルの献策に不穏影あり。その陰気な男の登場が、静かに不吉な予感を漂わせるのであった。 -

第56話 闇神ウォルの凶兆 出陣前夜、チェンライの占いは敗北を告げていた。闇の気配だけが、砦の夜に残り続けていた。 -

第57話 帝国軍の進撃 要衝へ向け帝国軍が動き出す。鬨の声は風に乗り、銀色の波濤となって砦へと押し寄せる。 -

第58話 見えざる障壁 北の魔女の力が強大な魔術障壁を打ち砕く。轟音の余韻は、砦の終わりの始まりを告げる弔鐘のように響く。 -

第59話 勝利の旗印 不落の要塞が今、陥落する。凱歌は空に吸い込まれ、難攻不落の砦の陥落を、その歴史に刻んだのである。

