これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第45〜54話の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
前回(第37〜44話)のまとめ
第45〜54話のあらすじ
領主クルゴスの圧政に喘ぐ街ラムセス。革命指導者タホス、怪力のガスク、そしてタホスらの懇願により市民革命の手助けをする事になった風来の騎士リューベックらは、街を訪れたヴィラン公爵を誘拐し、その身柄と引き換えに圧政の停止を求める計画を立てていた。
しかし、その計画は「キュロの泉」での襲撃決行の夜、思わぬ形で転がり始める。
「キュロの泉」での襲撃決行の夜、ヴィランは護衛を一蹴し、リューベックと互角の剣戟を繰り広げる武勇を見せる。しかし、彼女は突如として剣を収め、「退屈しのぎ」として自ら革命家のアジトへ捕虜となる道を選んだ。
アジトに招かれたヴィランは、タホスらの計画を「稚拙」と切り捨て、クルゴスに一泡吹かせるため、自らが軍師となり革命を指揮することを宣言する。
ヴィランが授けた策は、スラム街の複雑な地形を利用した壮大な罠であった。影武者を複数放ち、焦ったクルゴスが全軍七千をスラムへ投入した瞬間、火薬師パーパの爆破によって出入り口を封鎖。
主力軍を「迷宮」の中に閉じ込め、無力化することに成功する。
手薄になった領主館へ、ヴィランは単身乗り込む。追い詰められたクルゴスは、忠実な女親衛隊長ファエラの助けを借りて脱出を図り、北門へとひた走る。しかし、そこで待ち構えていたのはリューベックであった。
ファエラとリューベック、凄腕騎士同士の戦いの行く末が、この革命の勝者となる。
激しい剣戟の末にリューベックが勝利し、ファエラという護衛を失ったクルゴスは、門の外へ逃れようとする。しかし、開かれた門の先に広がっていたのは自由ではなく、カリュースらと密約を交わしたブラーム大公の五千の軍勢による「詰み」の光景だった。
逃走は断たれ、圧政者は盤上の最後の一手を迎える。
絶望するクルゴスの前で、驚愕の真実が明かされる。倒されたはずのファエラが起き上がり、兜を取ると、そこには美しい金髪の女性──リューベックの妹、エレオノールがいた。彼らはヴィラン配下のラヴァウインド共和国の騎士であり、ファエラとしての潜入も、全ては計算された工作だったのである。
制圧された領主館で、ヴィランはこの革命すらも、白髪の軍師リーディスが描いた「皇女奪還」という大芝居の一部であり、革命の火種となった青年ビトラもまた、デス隊の工作員であったことを明かす。
勝利を収めたタホスに対し、ヴィランは腐敗を防ぐため、体制が整うまではブラーム大公の庇護下で市政を行うよう現実的な助言を与え、タホスもそれを受け入れた。また、タホスは捕らえたクルゴスを処刑せず解放するという独自の決断を下す。「同じ穴の狢にはならない」というその高潔な意志は、報復の連鎖を断ち切る民衆政治の第一歩となった。
役目を終えたヴィラン一行は、新たな時代の幕開けを告げる歓喜の声に見送られ、次なる決戦の地、ブラーム大公の待つミュアイ市へと疾走する。
第45〜54話の主要な登場人物
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ヴィラン公爵
ラヴァウインド共和国の六大卿の一角。ラムセス市の革命を自らの策で「大芝居」へと変貌させ、圧倒的な指導力で事態を収束させる。
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リューベック
ヴィランの従者であり、ラヴァウインド共和国の騎士。潜入・戦闘・調整の全てを担い、最後には逃亡を図るクルゴスの前に立ち塞がる。
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エレオノール
リューベックの妹。親衛隊「ファエラ」になりすまして潜入し、市民革命が成就するその時まで、正体を隠し革命家達を導く。
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タホス
革命組織の老指導者。ヴィランの策を受け入れ、最後には復讐ではなく「許し」を選び、新たな市民政治の産声を上げた。
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ガスク
巨漢の革命家。前線での実働を担い、ヴィランの偽装作戦でも兵を引き付ける囮役として、豪快な戦いぶりを見せる。
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バラコア
威勢の良い中年女性。ガスクの妻。ヴィランの不遜な態度に物怖じせず、フライパンを武器に戦場を駆けるなど、民衆の底力を見せつける。
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ファルコーネ
献身的な看護婦。リューベックに淡い想いを寄せ、別れの際、リューベックに自分の作った腕輪を贈る。
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ビトラ
白髪の軍師リーディスの命で革命の「火種」を半年間守り続け、リューベックを組織へ導く導火線の役割を果たした。
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クルゴス
ラムセス市の自治領主。傲慢な圧政を敷くが、最後は自らが仕組んだ「ヴィラン殺害」の策を逆手に取られ、無様に敗走する。
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リビンスク
領主館の執務者。保身のために焦燥し、ヴィラン側の手の平で踊らされ続けた。結果的に革命を加速させる皮肉な役割を演じた。
国名・地名・用語
- ラムセス市:巨大な城壁に囲まれた中核都市。領主クルゴスの過酷な圧政下にあり、ヴィランが仕掛けた「大芝居」による革命の舞台となった。
- キュロの泉:天地創造の彫刻が並ぶ巨大な円形の泉。ヴィラン誘拐を装った革命の幕開けの地であり、混沌の起点となる場所。
- スラム街:街の南部に広がる複雑に入り組んだ居住区。ラムセス市が迷宮都市と言われる所以。ヴィランの策により、七千の領主軍を分断・無力化するための巨大な罠として活用された。
- ミュアイ市:ラムセス市の対岸にある、ブラーム大公領の中核都市。アラク海峡を守る重要拠点。
- ミュアイ軍:ブラーム大公がラムセス市制圧のため派遣した五千の軍勢。革命の最終局面でラムセス市を包囲し、市民革命を手助けする。
個別にエピソードを読む
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第45話 牙を剥く虎
潜む一行。ヴィランの来訪に合わせ、泉の畔で奇襲が始まる。投じられた一石が、これから巻き起こる混沌へと事態を加速させていく。
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第46話 偽りの誘拐
ヴィランの剣技に圧倒されるも、彼女は自ら捕虜となる。嘆きの声は夜に吸い込まれ、偽りの誘拐は、革命の火種に新たな風を吹き込む。
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第47話 策なき革命
アジトで計画を断じたヴィランだが、民の覚悟を認め手を貸す。策なき革命──ここから本当の幕が開こうとしていた。
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第48話 反乱前夜
スラムを罠とするヴィランの策。全兵力を投じるリビンスク。蜂起の狼煙が、街のあちこちで静かに灯り始める。
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第49話 蜂起の狼煙
偽ヴィランが兵を翻弄し、民が決起。主の消えた領主館へ。空っぽの城へと向かう足音は、盤上の王手を告げる響きを帯びていた。
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第50話 轟鳴の迷路
音と共に退路は断たれ、兵は迷宮に沈む。主を失った館で、逃げ場なき密室で、狩る者と狩られる者の立場が今、逆転する─
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第51話 詰みの王手
逃亡を図る領主に、ヴィランとリューベックが引導を渡す。開かれた門の向こうには、絶望という名の現実が待ち構えていた。
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第52話 白銀の兄妹
ラムセス包囲。明かされるヴィランと従者の真の姿。凱旋する彼らの後ろ姿に、革命家達は新たな時代の訪れを感じ、胸の高鳴りを覚えていた。
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第53話 大芝居の幕裏
すべては周到に仕組まれた狂言だった。ビトラが語る真相。積み重ねられた様々な思惑は、一点へと収束していく──
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第54話 自由への産声
解放された街に希望が宿る。ヴィラン達を見送る感謝と別れ。解放の風は、遠くの地平まで吹き抜けていく……


