これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第87〜92話の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
前回(第80〜86話)のまとめ
第87〜92話のあらすじ
スィークリト帝国の皇女ランフォーレを乗せた馬車が、ブラーム大公の治めるミュアイ市へと辿り着いた。出迎えた軍師リーディスやラヴァウインドのヴィラン公爵たちの前で、姫は堂々たる威厳と気品をもって救出への感謝を告げる。難攻不落の要塞から無事に皇女を奪還したカリュースたちの帰還に、城は歓喜の声に包まれ、盛大な祝宴の幕が上がった。
その喜びに沸く城内で、カリュースは信じがたい奇跡を目の当たりにする。決して自力で歩くことのなかった半身たる軍師リーディスが、杖を持たず、自らの足でしっかりと大地を踏みしめていたのだ。北の魔女ウィフィツィが告げた「運命の軸が正常に戻った」という予言。長きにわたる病魔の呪縛から解き放たれ、本来の輝きを取り戻した友の姿に、感情を表に出さないカリュースも万感の思いで彼をきつく抱きしめる。二人の絆は、ここで一つの結実を迎えた。
だが、安息は長くは続かない。夜の静寂のなか、カリュースは敵将カイナーフから聞かされた戦慄の事実を口にする。「姫は皇帝自身の手でヒスタリクに売られ、その裏には大宰相ラフューンが絡んでいる」と。リーディスは即座に、この奪還の勅命そのものが『無敵の騎士』カリュースを陥れるための巨大な罠であると看破した。迫り来る帝国の闇。そんな中、ヴィランは無意味な全面戦争を食い止めるため、ヒスタリクの重鎮アビス侯爵の元へ単身乗り込むと宣言する。
役者たちが次なる闘いへ向けて覚悟を決めていたその時、城の離れを悲鳴が切り裂いた。
カリュースたちが駆けつけた泉のほとり。そこには、純白の衣を鮮血で赤く染め上げたランフォーレが倒れていた。胸には鋭利な刃が深々と突き立てられ、故郷の星空を見上げ、帰還の喜びに浸っていたはずの姫は、自らの数奇な運命を儚みながら、カリュースの腕の中で静かに息を引き取った。
暗闇から現れた凶刃の主は、味方の傭兵として潜り込んでいた男、ファドーツ。大宰相ラフューンの差し向けた闇の暗殺者は、騎士たちの慟哭を嘲笑い、人間離れした跳躍で夜の闇へと消え去っていく。
己の慢心を呪い、絶望に沈むカリュース。しかし、ヴィランは冷徹なまでに力強く彼を叱咤する。「姫の死は誰のせいでもない、星の巡りだ。ここで立ち止まるな。大宰相の陰謀を打ち砕け」と。
ブラーム公によって姫が手厚く葬られたその夜。カリュース、リーディス、デス、ルッカ、ハースランドの五名は、深い悲しみと静かに燃え盛る怒りを胸に、馬に跨った。
闇神ウォルが手招きするかのような漆黒の闇夜。五騎の影は、すべての元凶が巣食う帝都ラウェルへ向けて、決死の疾走を開始するのだった。
第87〜92話の主要な登場人物
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カリュース
ランフォーレ姫を救出し、ミュアイ市へ帰還。リーディスの回復に歓喜するが、直後に起きた姫の暗殺劇に絶望する。ヴィランの叱咤を受け、陰謀を砕くため帝都ラウェルへと向かう。 -

リーディス
星の巡りが正常に戻ったことで長年の病魔から解放され、自らの足で歩けるようになる。一連の勅命と姫の暗殺が、大宰相ラフューンによるカリュース失脚の罠であると看破する。 -

ヴィラン
カリュースの偉業を称えつつ、ヒスタリクとの全面戦争を回避するため単身アビス侯爵の元へ向かう。姫の死に打ちひしがれるカリュースを「星の巡りだ」と力強く励ます。 -

ランフォーレ姫
カリュースによって無事に救出され、ミュアイ市で故郷の星空を見上げて安堵していた矢先、大宰相の刺客によって胸を貫かれ、数奇な生涯を閉じる。 -

ファドーツ
味方の傭兵として潜り込んでいた男。その正体は大宰相ラフューンの密命を帯びた暗殺者であり、ランフォーレ姫を殺害後、人間離れした跳躍力で夜の闇へと姿をくらます。 -

ハースランド
自身が砦から連れ帰った傭兵ファドーツが、姫の暗殺者であったことに気付き激しい自責の念に駆られる。処罰を乞うが、カリュースに赦され共に帝都へと向かう。 -

リューベック
ヴィランに付き従う騎士。ランフォーレ姫暗殺の直後、いち早く茂みに潜む気配を察知して短剣を投擲し、暗殺者ファドーツの姿を暴き出す。
国名・地名・用語
- ミュアイ市:スィークリト帝国の盟友であるブラーム大公が治める都市。バトリック山城から姫を救出したカリュースたちが帰還を果たしたが、束の間の安息は悲劇によって打ち砕かれる。
- 大公城:ミュアイ市の中心に位置する城。カリュースたちの偉業を讃える華やかな祝宴が開かれたが、その裏で、離れの泉にてランフォーレ姫の暗殺劇が引き起こされた。
- 帝都ラウェル:スィークリト帝国の首都。一連の勅命を利用してカリュースを失脚させようと目論む大宰相ラフューンが待ち受ける場所であり、カリュースたち五騎が決意と共に目指す次なる目的地。
- バトリック山城:ヒスタリク王国のアビス侯爵が支配する要塞。ランフォーレ姫が幽閉されていた場所だが、今回はヒスタリクとの全面戦争を回避するため、ヴィランが単身で乗り込む舞台となる。
個別にエピソードを読む
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第87話 待つ者たち 無事、皇女ランフォーレを救出したカリュースがミュアイへと急ぐ。春の訪れを告げる風が、待つ者たちの間に新たな予感を運んでくる。 -

第88話 帰還の凱歌 ブラーム大公らが出迎える城下は、皇女の帰還を祝う盛大な歓喜に沸いていた。その賑わいの中で、ただ一人、静かに微笑む友の姿があった。 -

第89話 奇跡の歩み 星の巡りが正常に戻り、ついに自らの足で歩く力を取り戻したリーディス。杖なき歩みが、長かった戦いの傷跡を優しく洗い流していく。 -

第90話 嵐前の静寂 大宰相の恐るべき陰謀が判明する中、姫は故郷の星空を見上げる。その束の間の安息は、嵐が訪れる前のあまりに儚い夢に過ぎなかった。 -

第91話 白衣の血花 闇夜に散った皇女の命。現れた暗殺者の正体は、味方の傭兵ファドーツだった。道化の嘲笑が夜気を切り裂き、騎士たちの慟哭をあざ笑う。 -

第92話 星々の葬送 悲しみと怒りを胸に、大宰相の陰謀を砕くため帝都へ向かうカリュース。星々の光の下、闇神ウォルの誘う先へと五つの馬が疾駆した。


