
これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第74〜79話の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
前回(第67〜73話)のまとめ
第74〜79話のあらすじ

泥沼の包囲戦を打ち破ったのは、白髪の軍師リーディスの完璧な采配と、ルッカやデスの勇猛なる突撃だった。ザッカート軍は完全に瓦解し、大公城は勝利の熱狂に沸き立つ。しかし、その輝かしい戦果の裏には、底知れぬ暗雲が立ち込めていた。
戦場からいち早く帰還したカリュースが薄暗い部屋で見つけたのは、一人涙に暮れるリーディスの姿だった。冷酷なる黒の軍師ユロの手によって軟禁されていた彼は、ユロの卑劣な策により五千のザッカート海軍の水兵が無残に湖の藻屑とされた事実に慟哭していた。

非情な現実に打ちひしがれる白髪の友を、カリュースはただ優しく抱き寄せる。勝者の歓声の陰で、主従は静かに痛みを分かち合っていた。
敵であっても命を救おうとしていた軍師の優しさは踏みにじられた。戦場の勝利とは裏腹に、白髪の軍師の胸には深い後悔と悲しみが刻まれていたのである。

一方、地下牢では捕虜となった敵将ザッカートが、自らを欺き敗北へと導いたスィークリトの若き騎士ハースランドに憎悪の唾を吐きかけていた。
若干十九歳にして『裏切り者のジャクメル』という一生消えぬ烙印を背負うことになった彼は、ザッカートの怒りに反論することなく、ただ悲痛な足音を響かせてその場を立ち去る。
この戦いで得た物も大きい。しかし、誰もが己の過酷な運命と向き合うことになったのも事実であった。

その後、ラムセス市を解放したヴィラン公爵一行が大公城へ到着する。因縁の大騎将デスとの間で一触即発の刃傷沙汰の喧嘩が発生するが、突如現れた北の魔女、ジプシーの統領ウィフィツィのばばが一喝して場を収めた。
再び一堂に会した運命の星々。北の魔女は、リーディスを「白」、ヴィランを「紫」の星と呼び、彼らがここに集結したのは決して偶然ではないと告げる。

過去の皇母暗殺未遂事件に端を発するリーディスの深謀と、娘を守ろうとしたヴィランの父の思惑。それらが図らずも重なり合い、ヴィランをカリュースの元へと導く「運命の取り次ぎ」を果たしていたのだ。
だが、次なる姫奪還の未来を占う北の魔女が引くカードは、何度切り直しても「死神」を示した。
「この中の誰かが死ぬ」
──残酷な啓示に、部屋は重い沈黙に包まれる。その夜、満天の星空の下、ヒスタリク兵に変装したカリュースは単騎でミュアイ市を出発した。死神のカードが示す未来とは、誰の命で贖われるものなのか。物語は、次なる死地へと静かに動き出していた。
第74〜79話の主要な登場人物
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カリュース
ザッカート軍の背後から強襲し、見事な挟撃を完成させて勝利を決定づける。非情な現実に涙するリーディスを優しく慰め、ランフォーレ姫奪還のため単身アビス侯の居城へと出立する。 -
リーディス
完璧な采配で敵軍を崩壊させるが、ユロの非情な策により敵海軍が全滅した事実に慟哭する。「白の星」としてヴィランとカリュースの運命を引き合わせた張本人であることが判明する。 -
ユロ
潮流と大渦を利用した無人特攻船の罠で敵海軍を全滅させる。自身の非情な策を邪魔されぬようリーディスを軟禁し、白髪の軍師を出し抜いたことに悪魔的な喜びを感じている。 -
ザッカート
挟撃により軍を完全に分断され敗亡。大公城の地下牢に囚われ、自らを欺いたハースランドに対し「裏切り者のジャクメル」と狂気じみた怨嗟の唾を吐きかける。 -
ハースランド
捕虜となったかつての上官ザッカートから激しい憎悪をぶつけられる。反論せずに甘んじて受け入れ、19歳にして一生消えない「裏切り者」の重い烙印を背負う。 -
デス
ザッカート軍の陣形の弱点を見抜き、ルッカの突撃を指示して見事な挟撃網を構築。 -
ルッカ
デスの戦術眼に応え、千騎の騎兵を率いて「尖頭隊形」で敵陣に突撃。ザッカート軍の半弧隊形を中央から見事に貫通・分断し、大勝の決定的な起点を作る。 -
ヴィラン公爵
ラムセス市を無傷で解放して大公城へ合流。ばばの占いにより、自身がカリュースの「天命の星」に惹き寄せられた「紫の星」であることを悟る。 -
ウィフィツィのばば
運命の星々が一堂に会した場で、リーディスの深謀がヴィランを導いたと看破。姫奪還の未来を占うが、何度切り直しても「死神」を引き、残酷な死の啓示をもたらす。
国名・地名・用語
- 大公城:ブラーム大公の居城。遠見の魔術鏡「天の目」を通して遠く離れた戦場を見渡すことができる。戦勝後は運命の星々が一堂に会する場となり、地下牢には敗将ザッカートが収監された。
- ラムセス市:ヴィランの巧妙な手回しと市民の協力により、本軍を突入させることなくほぼ無傷で解放された都市。これにより、ミュアイ軍の一部はそのままメーマック市の占拠へと向かった。
- バトリック山脈:次なる標的であるアビス侯の居城がある険しい山脈。ランフォーレ姫が囚われているとされ、ヒスタリク兵に変装したカリュースが単騎で闇夜の中、この地を目指し出立した。
- ウィフィツィのジプシー:北の魔女ウィフィツィのばばが率いる、三日月と太陽の紋章を持つジプシー集団。
第4巻(第60~79話)のまとめ
個別にエピソードを読む-
第74話 勝者の御旗 ルッカの突撃が陣形を割り、見事な挟撃作戦はついに大成功を収めた。戦いは終わった。だが、城内には未だ晴れぬ暗雲が立ち込めている── -
第75話 軍師の涙 冷酷なユロの卑劣な罠によって、無残にも湖の藻屑と消え去った五千の水兵。白髪の軍師の慟哭は、非情な現実に抗う優しき魂の叫びであった。 -
第76話 消えぬ烙印 地下牢で捕虜となったザッカートから凄絶な憎悪を浴び、裏切り者の烙印を背負って歩む若き騎士ハースランド。最後に残るのは、策か力か── -
第77話 星々の集い 激戦を終え、大公城で再び一堂に会した仲間たち。魔女の占いが星々の因果を紐解く。見えざる糸が、彼らの運命をより強固に結びつけていく。 -
第78話 運命の糸 皇母暗殺未遂に端を発する軍師の策と、娘を遠ざけようとした父の影。偶然か必然か──彼らの出会いは、大いなる意志によって導かれていた。 -
第79話 死神のカード 残酷な死の啓示を背に、単騎で敵地へと闇夜を駆けるカリュース。死神のカードが示す未来。その答えを知るのは、夜空に輝く星々のみである。



