
これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
第1〜5話のあらすじ

木漏れ日が降り注ぐ穏やかな庭園で、一人の老人が少年に語りかける。「昔はスィークリトという国の騎士じゃった……あんなことが起こらなければ」。その言葉は、栄光と悲劇に彩られた過去への入り口だった。
時は遡り、戦乱の平原。スィークリト帝国の若き猛将カリュースは、親友であり「白髪の軍師」と呼ばれるリーディスの策を用い、鮮やかに敵国ファランの総大将を討ち取る。その功績により、カリュースは異例の速さで中騎将へと昇格。師である豪快な将軍デスや、部下のハースランドと共に勝利の美酒に酔いしれるはずだった。

だが、帝都ラウェルには不穏な空気が漂っていた。統治領主となったジェドラ伯爵は、広場に集まる民衆を扇動し、一人の青年を「敵の悪鬼」として引きずり出す。それは、帝国の勝利のために裏切りを強いられ、亡命を約束されていたはずの敵将ロウスだった。
「騙されるな!」という悲痛な叫びは届かず、彼は裏切りの果てに処刑される。それを窓から見ていたカリュースとリーディスは、帝国のやり方に強い不信感を抱く。しかし、その夜ジェドラ伯爵が何者かに暗殺される。酩酊したカリュースの前に現れた暗殺者は、処刑されたロウス将軍の妹、フィーメルだった。

「帝国への亡命を許可すると言いながら、奴らは兄さんを裏切った!」
彼女の告発は、カリュースが信じていた「皇帝の正義」を根底から覆すものだった。彼女を見逃したカリュースの心には、消えない疑念の炎が灯る。
翌朝、真実を求めて登城したカリュースは、グリブロー大将軍に詰め寄る。「皇帝陛下は約束を破ったのか」と。しかし返ってくるのは保身のための言い訳ばかり。そこへ現れたのは、帝国の実権を握る冷徹な大宰相ラフューンだった。
彼はカリュースの真っ直ぐな瞳に危険なものを見出し、「反逆の意思あり」と断罪する。否定も肯定もせず、沈黙のまま部屋を去るカリュース。それは、盲目的な忠誠との決別であり、腐敗した権力への宣戦布告に近いものだった。
古き権威と若き息吹──混じり合わぬ二つの力が衝突し、戦場で掴んだ栄光は、いつしか忠誠を試す重荷へと変わり、帝国の内側で新たな歯車が不吉な音を立て始める。
第1〜5話の主要な登場人物
-
カリュース
スィークリト帝国の若き騎士。戦功により中騎将へ昇格し、忠誠と正義の間で揺れはじめる。 -
リーディス
白髪の軍師。病を抱えつつ、知略と観察で帝都の異変を捉えるカリュースの相棒。 -
デス
豪放な名将。カリュースの上司であり師。帝国内で名声を持つ。 -
ルッカ
囮部隊を率いる小騎将。戦場でカリュースと呼応し、作戦の要を担う。 -
ハースランド
カリュースの副官。昇格後もカリュースに従う。 -
グリブロー
スィークリト陸軍最高司令官。真相を知りつつも政治の壁に縛られる。 -
フィーメル
ジェドラ伯爵暗殺後、カリュース達に保護される。兄ロウスの件で帝国を憎み、復讐を誓う。 -
バルミッツ
ファラン軍総司令官。戦場で敗走し、カリュースに討たれる。 -
ジェドラ伯爵
戦後、帝都ラウェルの統治領主となる。民衆の前で処刑を演出し、その夜フィーメルに暗殺される。 -
ロウス
公開処刑されたファランの若き将軍。フィーメルの兄。 -
ラフューン
スィークリト帝国大宰相。皇帝に代わって権力を握る存在として、カリュースを圧する。
国名・地名・用語
- スィークリト帝国:カリュースが属する大国。軍と官僚機構が強い影響力を持つ。
- ファラン王国:スィークリトと戦った隣国。戦後の処刑劇と亡命疑惑で物語の火種となる。
- 帝都ラウェル:スィークリトの首都。戦勝ムードと民衆扇動、暗殺事件が交差する舞台。
- 陽の園:王宮の中央庭園。プロローグで過去の語りが始まる場所。
- 雷鷹(ティアウス)の間:帝国城内の一室。昇格の儀式が行われる。
続き(第6〜12話)のまとめ記事
個別にエピソードを読む
第1話 帝国の騎士若き騎士カリュースは戦場で勝利を掴む。しかしその栄光は、正義の裏に潜む歪みを静かに映しだす。この戦いは、まだ始まりにすぎなかった……
第2話 昇格の日戦勝に沸く帝都で、カリュースは中騎将へ昇格する。その裏で、戦とは異なる力学が帝国内で動き始める。栄光の陰で、新たな歯車が回り始める。
第3話 白髪の軍師白髪の軍師リーディスとの対話は、戦と政治の因果を浮かび上がらせる。窓外で変質する空気の中、帝都は不穏な沈黙を深めていく。
第4話 領主暗殺公開処刑の夜、霧の街で起きた襲撃事件。偶然に見えた出来事は、処刑と暗殺が繋がる連鎖の一端だった。血の夜は終わり、疑念だけが残された。
第5話 揺らぐ忠誠少女の告白は、帝国の裏切りを示していた。忠誠を信じたいカリュースは沈黙する権威と向き合う。真実は伏せられたまま、物語だけが先へ進む



