
これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
前回(第1~5話)のまとめ
第6〜12話のあらすじ

舞台はスィークリト帝国と対をなす宗教国家、ラヴァウインド共和国。その総本山である聖都リザルト=レイヴンには、荘厳な白亜の回廊が続き、ラヴァ正教の頂点に立つ老女「皇母」が静かに祈りを捧げていた。
この地で異彩を放っていたのが、皇母を祖母のように慕う若き女性公爵、ヴィランである。かつて孤児だった彼女は、皇母に芸術の才能を見出され、剣を取れば「レイピアの鬼神」と恐れられるラーデンブルク公爵へと上り詰めていた。彼女は、「鬼公爵」という二つ名とは裏腹に、皇母を守るためだけにその剣を振るっていたのだ。
そんなヴィランのもとに、過去の扉を叩く使者が現れる。かつて彼女を修道院へ預けた執事が現れ、「実の父が会いたがっている」と告げたのだ。

次期教皇の座を巡る派閥争いに嫌気が差していたヴィランに対し、皇母は「本当の両親に会ってきなさい」と優しく背中を押す。ヴィランは皇母の愛に感謝しつつ、父の待つ保養地アルベラへと旅立っていった。
無人の別荘で過去の記憶──優しかった「ライ兄様」の面影──に浸るヴィラン。しかし、その静寂は凶報によって破られることとなる。彼女の留守を狙うかのように、皇母の寝所へ暗殺者が侵入したというのだ。

父との再会を捨て、疾風のごとくリザルト=レイヴンへ舞い戻ったヴィラン。彼女が向かったのは、捕らえられた暗殺者たちが収容された拷問塔「藍の塔」であった。しかし、時すでに遅く、そこで見たのは無惨な光景だった。彼女の代理として尋問に赴いた指揮官バック中騎将が、毒で命を奪われていたのである。
そこでヴィランは、背筋の冷える可能性に辿り着く。暗殺者たちの真の狙いは皇母ではなく、捜査の指揮を執るはずだった「ヴィラン自身」だったのではないか。わざと捕まり、尋問の場に出される食事に毒を仕込む──標的が来る“筋道”を作るための計略。彼女がアルベラへ離れていたことさえ、誰かにとっては都合のよい状況だった。
事態を重く見た実父は手紙で警告する。「お前は今、台風の目だ。ここにいては命が危ない」。これ以上、愛する皇母を危険に巻き込むわけにはいかない。ヴィランは苦渋の決断を下す。
「必ず帰ってくる。私の故郷はここなのだから」
涙を堪え皇母と別れたヴィランは、敵対する国同士の裏で暗躍する灰色の老伯爵『サジ=ベルダント』を頼り、ヴィランを守る従者の兄妹と共にリザルト=レイヴンから姿を消すのであった。
帝国の騎士カリュースの物語の裏側で、もう一人の英雄の運命もまた、巨大な陰謀の渦へと飲み込まれ始めていた。
第6〜12話の主要な登場人物
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ラーデンブルク公ヴィラン
六大卿の女公爵。剣の腕前や気まぐれな性格から、「鬼公爵」とも呼ばれる。暗殺の標的となり、聖都を去る決断を下す。 -
リザルト=レイヴン四世(皇母/教皇)
ラヴァ正教の最高指導者。ヴィランを家族のように案じる。 -
リューベック
ヴィランの護衛を務める騎士。エレオノールの兄。 -
エレオノール
ヴィランの護衛を務める騎士。リューベックの妹。 -
サジ=ベルダント伯爵
敵対する国同士の裏で暗躍する灰色の老伯爵。 -
アニンディ
皇母の使者としてヴィランを呼び戻す人物。旧知の縁をつなぐ。 -
ルマーク
ヴィランの父の執事。主の言葉を運び、アルベラ行きを導く。 -
バック中騎将
捜査の指揮官代理となり、藍の塔で毒殺される。
国名・地名・用語
- ラヴァウインド共和国:ラヴァ正教を中心とする宗教共同体国家。六大卿の合議で統治される。
- 聖都リザルト=レイヴン:ラヴァウインド共和国の都であり政治中枢。
- 白亜の路:聖都の中央通路。宗教的権威の「光」と政治の「影」を併せ持つ舞台。
- 蒼雲宮:教皇(皇母)の宮。一般の立ち入りが禁じられる中枢。
- 藍の塔:取り調べと拷問の場。毒殺事件の現場となる。
- モンカル修道院:ヴィランが孤児として育てられた修道院。出生の鍵を握る。
- アルベラ:貴族の別荘群がある土地。ヴィランの過去の屋敷が残る。
- 六大卿:共和国の実権を握る六人の枢機卿級の大諸侯。
続き(第13~17話)のまとめ
個別にエピソードを読む
第6話 孤高の鬼公爵内乱を鎮め共和国を救った女公爵ヴィラン。その剣と統率は他国にまで知られ、広がる鬼攻者の異名は、破天荒な性格だけが理由ではなかった。
第7話 二つの使者教皇後継を巡る使者と、皇母の使いが続けて訪れ、心は静かに揺れる。二つの来訪は、ヴィランの内に異なる余韻《よいん》を刻んでいた。
第8話 皇母との再会皇母に召され蒼雲宮へ。出生に関わる知らせが静寂を揺らす。蒼雲宮《そううんきゅう》の沈黙は、やがて客人の足音で静かに破られる──
第9話 アルベラへの招き父からの招きと、皇母の願い。揺れる心の裏で決断は迫る。その微笑みの裏で、別れの時はすでに静かに忍び寄っていた……
第10話 追憶の欠片旧邸で蘇る幼き日の記憶。しかし急報が回帰を断ち切る。過ぎ去った記憶は、何事もなかったかのように胸を離れた──
第11話 皇母暗殺未遂暗殺の真の標的に気づき、藍の塔へ駆けるも手遅れだった。その知らせは、帝都の静けさを内側から切り裂いていた。
第12話 故郷との別れ皇母を守るため身を隠す決断。別れの涙が胸を刺す。その争いは、別の場所で別の物語を動かし始めていた……




