【第13話〜第17話まとめ】森の異端者と皇帝の勅命 |EWIG連載ノート

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【第13話〜第17話まとめ】森の異端者と皇帝の勅命 |EWIG連載ノート

これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。

本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。

ネタバレ注意
この記事は、第13話〜第17話の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。

第13話〜第17話のあらすじ

視点の中心にいるのはカリュースである。

帝国城の近く、ゲナブの森に「人間とは思えない速さで走る黒い影」が出たという訴えが入り、調査の指令が回る。大騎将デスは退屈を持て余していたこともあり、部下のルッカ、そしてカリュースを連れて森へ向かうが、道中から彼らの温度差が露わになる。

デスは気楽で、ルッカは不満を抱え、カリュースだけが任務として状況を整理し、先へ進めようとする。

 

ゲナブの森は危険地帯というより、人の生活圏に近い森として描かれる。だが「怪しいもの」の正体を追う三人は、デスの独断で看板と逆の道を選び、森の奥ではなく山側へ迷い込む。

疲労で動けなくなるルッカと、居眠りすら始めるデスに対し、カリュースは単独で周辺を確認し、滝の近くに複数の馬車が停まっていることを突き止める。

ここでカリュースは、混乱した現場を立て直す役割を担い、「事実を押さえ、急ぐべき理由(日没)を示し、次の行動へつなぐ」立場へと一段深く踏み込む。

 

馬車の一団は盗賊ではなく、ジプシーの生活共同体だった。さらにデスは、その装束の紋章(三日月と太陽)から彼らがウィフィツィのジプシーであると見抜く。

伝説的な占い師として語られる「北の魔女」ウィフィツィのばば──その存在は、噂としてではなく現実の人物として、ここで物語の前面に現れる。

デスは彼女を「人生の師」と呼び、笑いで場の緊張をほどきつつ、ジプシーが通じる合図(キソウの印)を示し、対話の糸口を作る。

カリュースは異文化の暮らしを目の当たりにし、最初の違和感が、次第に懐かしさや親しみに変わっていく。帝国の騎士としての規律とは別の価値観が、彼の内側に静かに入り込む場面である。

 

ばばの馬車の中では、丸テーブルと銀色のカードが待っていた。荒々しい登場(杖でデスを殴る)とは裏腹に、ばばは知性と威厳を備え、語るべき時には声色すら変えて「運命」を説く。

ばばの言葉は、カリュースを中心に据えながら、デス、そしてまだ名の出ていない「白い星」「紫の星」へと話題を広げ、彼らが巨大な盤上の駒であると位置づける。

ここでカリュースは、事件を追う側から、運命に巻き込まれる当事者へと立場が転じる。自分の選択ではなく、すでに動き始めた大きな流れがある──その前提が提示されることで、以後の行動は「任務」以上の意味を帯び始める。

 

ばばは「運命に逆らうな」と警告し、従うなら皇帝のカード、逆らうなら死神のカードが付くと示す。

さらに「探している人物は北にいる」「焦って北へ向かうな」「南から近づく紫の星を見つけよ」「白い星を信じよ」と、断片的だが強い指針を与える。

これは答えではなく、次章へ繋がる“核”である。

カリュースは理解したふりも反発もせず、ただ受け取る。彼の沈黙は、迷信に屈する態度ではなく、状況を飲み込み、先の行動へ変換するための沈黙として機能している。

 

帝国城へ戻ったカリュース達を待っていたのは、占いの余韻ではなく、現実の命令だった。

大将軍グリブローに呼び出され、皇帝の勅命が読み上げられる。内容は、数年前に拉致されたランフォーレ姫(ティア)の探索と救出。成功すればカリュースは大騎将に任命されるが、失敗すれば中騎将としての権利を失うに等しい。

 

任務の補助官にデス、副官にハースランドが指名され、事実上カリュースは「逃げ道のない旅」に追い込まれる。

ここで物語は明確に転換する。森の調査という小さな案件は、帝国の政治と陰謀の匂いを含む国家規模の任務へと接続され、カリュースの人生は一気に外へ引きずり出される。

さらにデスは、参謀役としてリーディスの名を挙げる。かつて大戦で活躍した白髪の軍師であり、身体的な事情で軍に属さない人物。

軍の制度外にいる彼をあえて引き入れる判断は、この勅命が正攻法では突破できないことを示している。

 

こうして第13話〜第17話は、「森の異変」から始まり、「北の魔女の予言」を経て、「皇帝の勅命」によって旅の必然へ固定されるまでを一本の流れとして描く。

カリュースは、訓練官としての日常から切り離され、運命と政治の双方に縛られた探索行へ踏み出す準備を整えさせられるのである。

第13話〜第17話の主要な登場人物

  • カリュース:スィークリト帝国の中騎将。調査の中で事実を積み上げ、帰還後に勅命で探索行へ追い込まれる。
  • デス:大騎将。豪放で場を崩す一方、ウィフィツィのジプシーを見抜き、参謀役としてリーディスを推す。
  • ルッカ:小騎将。現場の疲労や不満を体現しつつ、ジプシー遭遇の緊張も担う。
  • ハースランド:中騎兵。勅命後、カリュースの副官として任務に加わる。
  • ウィフィツィのばば:北の魔女と呼ばれる占い師。カードで運命を語り、カリュースに指針と警告を与える。
  • ミック:ウィフィツィのジプシーの少年。ばばに呼ばれ、馬車内の場面に同席する。
  • グリブロー:大将軍。皇帝の勅命を伝え、カリュースに姫救出を懇願する。
  • レイヴァ=スィークリト=メドル三世:スィークリト帝国皇帝。勅命を下し、探索と救出を命じる。
  • リーディス:白髪の軍師。軍属ではないが参謀として協力を承諾する。
  • ティア=スィークリト=ランフォーレ:拉致された姫。勅命の探索対象となり、物語の目的地を作る。

国名・地名・用語

  • スィークリト帝国:物語の中心国家。カリュース達が属する帝国。
  • 帝都ラウェル:スィークリト帝国の中心都市。
  • 帝国城:騎士達の拠点であり、勅命が下る政治の場でもある。
  • ゲナブの森:帝国城の南に広がる森。調査の発端となる。
  • バル大森林:北西部に広がる巨大な森。ゲナブの森はその“子分格”として語られる。
  • ヴァントブル街道:帝国領内最大の街道。都市群を結ぶ。
  • ウィフィツィのジプシー:三日月と太陽の紋章を持つジプシー集団。カード占術で知られる。
  • キソウの印:ジプシー側が反応した印。デスが対話の合図として用いる。
  • カード占術:ばばが銀のカードで示す占い。皇帝・死神などの象徴が提示される。
  • 人神ツォール:運命を盤上の駒として操る存在として語られる神。
  • 勅命:皇帝の命令。姫探索と救出がカリュースに強制される転換点。
  • イプソス平原大戦:過去の大戦。カリュース、デス、リーディスの関係性と実績の根拠になる。

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