
これは、カクヨムで連載中の小説『EWIG(エーヴィッヒ)』を、途中からでも追いやすい形にするための“まとめ記事”です。
本作は高校時代に執筆した原稿で完結済、全99話の構成です。
この記事は、第1巻(第1〜17話)の内容を物語の流れが分かる形でまとめています。未読の方はご注意ください。
第1巻(第1話〜第17話)のあらすじ

木漏れ日が降り注ぐ穏やかな庭園で、一人の老人が少年に語りかける。「昔はスィークリトという国の騎士じゃった……あんなことが起こらなければ」。その言葉は、栄光と悲劇に彩られた過去への入り口だった。
大陸の覇者スィークリト帝国。その若き中騎将カリュースは、親友であり「白髪の軍師」と称されるリーディスの知略を武器に、敵国ファランとの戦争を勝利に導く。その武勲により異例の昇進を果たしたカリュースだったが、凱旋した帝都で待っていたのは、腐敗しきった祖国の姿だった。

帝国は勝利のために、亡命を約束した敵将を騙し討ちにし、民衆を扇動して処刑したのだ。その妹である少女フィーメルからの涙の告発を受け、カリュースの忠誠心は音を立てて崩れ去る。
真実を求めて上層部に詰め寄る彼に対し、帝国の実権を握る冷徹な大宰相ラフューンはカリュースの真っ直ぐな瞳に危険なものを見出し、「反逆の意思あり」と断罪する。否定も肯定もせず、沈黙のまま部屋を去るカリュースの胸には、国そのもののあり方への疑問が拭いきれなかった。それは、盲目的な忠誠との決別であり、腐敗した権力への宣戦布告に近いものだった。
時を同じくして、帝国の隣にある宗教国家ラヴァウインド共和国でも、運命の歯車が狂い始めていた。

「鬼公爵」の異名を持つ女性公爵ヴィランは、祖母のように慕う教皇「皇母」を守るため剣を振るっていた。そんなヴィランのもとに、過去の扉を叩く使者が現れる。かつて彼女を修道院へ預けた執事が現れ、「実の父が会いたがっている」と告げ、従者の兄妹と共にアルベラへと向かうのである。
無人の別荘で過去の記憶──優しかった「ライ兄様」の面影──に浸るヴィラン。しかし、その静寂は凶報によって破られることとなる。彼女の留守を狙うかのように、皇母の寝所へ暗殺者が侵入し、ヴィランは疾風のごとくリザルト=レイヴンへ舞い戻る。

彼女が向かったのは、捕らえられた暗殺者たちが収容された拷問塔「藍の塔」であった。しかし、時すでに遅く、そこで見たのは無惨な光景だった。彼女の代理として尋問に赴いた指揮官バック中騎将が、毒で命を奪われていたのである。
皇母暗殺未遂事件により、真の標的が自分であることを悟ったヴィランは、愛する皇母をこれ以上危険に巻き込まないため、自ら「故郷」を捨てる決意をする。彼女は涙ながらに聖都を去り、敵対する国々の影で暗躍する謎の灰色の老伯爵『サジ=ベルダント』を頼り、リザルト=レイヴンから姿を消すのであった。
一方、帝都のカリュースにも決定的な転機が訪れる。

ゲナブの森で出会った予言者「北の魔女」から告げられたのは、カリュースが周囲を飲み込むほど巨大な「運命の星」であるという事実だった。
カリュースの星は、やがてすべてを巻き込む巨大な星となり、傍らには影のように光る白い星が苦しみながら抗っている──それでも彼は運命に逆らってはならない、と。

予言は、カリュース達が帝都ラウェルに戻るや否や現実になった。夕暮れの静寂を破り、グリブロー大将軍から下されたのは、皇帝レイヴァ三世の名による勅命であった。その内容は、「数年前に何者かに拉致され、行方不明となっている皇女ティア=スィークリト=ランフォーレを探索し、救出せよ」というものである。
それは、成功すれば大騎将への昇格が約束されるが、失敗すれば現在の中騎将としての地位すら剥奪される──栄誉を装った刃である。困難と罠の匂いを悟りながらも、カリュースは受けると決める。
しかし、広大な大陸の中で雲を掴むような探索を行うには、武力だけでなく卓越した頭脳が必要だった。そこでデスが提案したのが、かつて大戦の影で戦局を動かした「白髪の軍師」リーディスだった。
豪快なる師デス大騎将、実直な副官ハースランド、そして病弱な体を押して参謀役を引き受けた天才軍師リーディス。
栄光を捨て、安寧を捨て、彼らはそれぞれの正義を胸に旅立った。目指すは遥か彼方、行方知れずの皇女と、未だ見ぬ協力者たち。二つの物語が一本の線に繋がる時、世界は大きく動き出す──激動の第二巻へ続く。
第1巻のエピソード毎のまとめ
第1巻は、以下の3つの区間に分けて読むと流れを掴みやすい構成になっています。
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【第1話〜第5話まとめ】帝国の騎士と白髪の軍師 戦勝と昇格の栄光の裏で、公開処刑と暗殺、裏切りの疑惑が連鎖する。カリュースの忠誠は「誓い」から「真実への問い」へ揺れ始める。 -
【第6話〜第12話まとめ】鬼公爵ヴィランの来訪 舞台は聖都へ。鬼公爵ヴィランの出生の影が暴かれ、皇母暗殺未遂の仮面の下で「ヴィラン暗殺」の真意が露わになる。彼女は故郷を去る決断を下す。 -
【第13話〜第17話まとめ】森の異端者と皇帝の勅命 森の調査で出会うジプシーと北の魔女の予言が、日常を運命へ変える。帰還直後、皇帝の勅命が下り、姫救出の探索行へ—カリュースは逃げ道のない旅に踏み出す。
第1巻の主要な登場人物
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カリュース
スィークリト帝国の中騎将。正義感が強く帝国の腐敗に憤るが、勅命で姫探索へ向かう。 -
リーディス
白髪の軍師。病弱で右足が不自由ながらも、カリィースを支える半身的存在。 -
ヴィラン
ラヴァウインド共和国の女公爵。剣の腕前や気まぐれな性格から、「鬼公爵」とも呼ばれる。 -
デス
カリュースの上官の大騎将。豪快な性格で、カリュース達を陰ながら支える。 -
ルッカ
囮部隊を率いる小騎将。戦場でカリュースと呼応し、作戦の要を担う。 -
ハースランド
カリュースの副官。昇格後もカリュースに従う。 -
グリブロー
スィークリト陸軍最高司令官。真相を知りつつも政治の壁に縛られる。 -
リザルト=レイヴン四世(皇母/教皇)
ラヴァ正教の最高指導者。ヴィランの過去と深く関わる。 -
リューベック
ヴィランの護衛を務める騎士。エレオノールの兄。 -
エレオノール
ヴィランの護衛を務める騎士。リューベックの妹。 -
サジ=ベルダント伯爵
敵対する国同士の裏で暗躍する灰色の老伯爵。 -
ウィフィツィのばば
北の魔女と呼ばれる占い師。カードで運命を語り、カリュースに運命を告げる。 -
ミック
ウィフィツィのジプシーの少年。
国名・地名・用語
- スィークリト帝国:物語の中心となる巨大国家。
- 帝都ラウェル:スィークリト帝国の中心都市。
- ラヴァウインド共和国:ラヴァ正教を中心とする宗教共同体国家。六大卿の合議で統治される。
- 聖都リザルト=レイヴン:ラヴァウインド共和国の都であり政治中枢。
- ゲナブの森:帝都ラウェルの南に広がる森。
- ウィフィツィのジプシー:北の魔女が率いる、三日月と太陽の紋章を持つジプシー集団。
続き(第18-27話)のまとめ
個別にエピソードを読む
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第1話 帝国の騎士 若き騎士カリュースは戦場で勝利を掴む。しかしその栄光は、正義の裏に潜む歪みを静かに映しだす。この戦いは、まだ始まりにすぎなかった…… -
第2話 昇格の日 戦勝に沸く帝都で、カリュースは中騎将へ昇格する。その裏で、戦とは異なる力学が帝国内で動き始める。栄光の陰で、新たな歯車が回り始める。 -
第3話 白髪の軍師 白髪の軍師リーディスとの対話は、戦と政治の因果を浮かび上がらせる。窓外で変質する空気の中、帝都は不穏な沈黙を深めていく。 -
第4話 領主暗殺 公開処刑の夜、霧の街で起きた襲撃事件。偶然に見えた出来事は、処刑と暗殺が繋がる連鎖の一端だった。血の夜は終わり、疑念だけが残された。 -
第5話 揺らぐ忠誠 少女の告白は、帝国の裏切りを示していた。忠誠を信じたいカリュースは沈黙する権威と向き合う。真実は伏せられたまま、物語だけが先へ進む -
第6話 孤高の鬼公爵 内乱を鎮め共和国を救った女公爵ヴィラン。その剣と統率は他国にまで知られ、広がる鬼公爵の異名は、破天荒な性格だけが理由ではなかった。 -
第7話 二つの使者 教皇後継を巡る使者と、皇母の使いが続けて訪れ、心は静かに揺れる。二つの来訪は、ヴィランの内に異なる余韻《よいん》を刻んでいた。 -
第8話 皇母との再会 皇母に召され蒼雲宮へ。出生に関わる知らせが静寂を揺らす。蒼雲宮《そううんきゅう》の沈黙は、やがて客人の足音で静かに破られる── -
第9話 アルベラへの招き 父からの招きと、皇母の願い。揺れる心の裏で決断は迫る。その微笑みの裏で、別れの時はすでに静かに忍び寄っていた…… -
第10話 追憶の欠片 旧邸で蘇る幼き日の記憶。しかし急報が回帰を断ち切る。過ぎ去った記憶は、何事もなかったかのように胸を離れた── -
第11話 皇母暗殺未遂 暗殺の真の標的に気づき、藍の塔へ駆けるも手遅れだった。その知らせは、帝都の静けさを内側から切り裂いていた。 -
第12話 故郷との別れ 皇母を守るため身を隠す決断。別れの涙が胸を刺す。その争いは、別の場所で別の物語を動かし始めていた…… -
第13話 森の異端者 森に現れた異端の影を追う小さな調査依頼が下る。英雄達の穏やかな日常の裏で、小さな依頼が運命の行き先を定めていた── -
第14話 ゲナブの森 手探りの探索の果て、偶然見つけた馬車の存在が、静かな森に異質な気配を呼び寄せる。深い森の奥で、三人は思わぬ出会いに行き当たった。 -
第15話 ウィフィツィのジプシー 怪しい影の正体は放浪の民だった。運命を観るジプシー達は、この時はまだその意味を持たぬ存在だった。 -
第16話 北の魔女 北の魔女の語る星と運命の啓示は、カリュースの未来に避けがたい選択を刻み込む。タロットは、その行く末に静かに口を閉ざしていた。 -
第17話 皇帝の勅命 皇帝の勅命が下り、探索行は避けられなくなる。彼らに課せられた勅命は、大きな運命の歯車を回し始めるのであった。


